2010年04月23日

現役 鍼灸師Kの「思うところを述べよ!?」 vol.197〜あなたはだまされていませんか?

今回からメルマガのヘッダーとフッター部分は省略することにしました。バックナンバーでは必要ありませんからね。
それでは、ここから↓↓↓

4月も下旬だというのに結構寒い日があります。日照不足で野菜の価格が高騰しているようで、野菜好きな我が家としてはちょっと悲しい今日この頃です。

そして、今回は寒いと言えば、温泉に行きたいと思ったりするのですが、おいそれと温泉郷に行く訳にも行かず、自宅で気軽に温泉が楽しめたらなっていうような方には注意しないといけないというお話です。
◆◇◆ 今日のお題 ◆◇◆

 1.院長コラム〜貴方はだまされていませんか?
 2.あとがき

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 1.院長コラム〜貴方はだまされていませんか?
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先日のニュースでこのようなものがありました。
「温泉」の基準満たさず ラドンやラジウム鉱石 - 47NEWS(よんななニュース)
http://www.47news.jp/CN/201004/CN2010042101000893.html

国民生活センターが21日、「風呂に入れるだけでラドンやラジウム温泉になる」として売られている鉱石など10商品について、使用しても「温泉」の基準を大きく下回る成分の含有量しか示さなかったとする商品テストの結果を公表しました。

詳しくは国民生活センターHP内の「風呂に入れるだけでラドン・ラジウム温泉になるとうたった商品(商品テスト結果)」
http://www.kokusen.go.jp/test/data/s_test/n-20100421_1.html
をご覧いただければと思います。

また、HPからもPDFの報告書がダウンロードできますが、ここにも報告書へのリンクを貼っておきます。
http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20100421_1.pdf

温泉法によると温泉の定義は「温泉」とは、地中からゆう出する温水、鉱水及び水蒸気その他のガス(炭化水素を主成分とする天然ガスを除く。)で、温泉源から採取されるときの温度が摂氏25 ℃以上又は特定の物質のうち一つについて、規定の含有量を有するもの」となっています。また「そのうち地中からゆう出する水蒸気及びその他のガスを除く「鉱泉」で、特に治療を目的に供しうるものを療養泉としている。」ということなのですが「風呂に入れるだけでラドン・ラジウム温泉になるとうたった商品」はいずれもその温泉の定義に当てはまらない代物だったということです。

中には効能効果をうたった商品もあり、これは薬事法にも抵触しているおそれがあり、藁をも掴む重いで使用されていた方には気の毒な話です。

しかしながら、世の中にはこのような商品は少なくないのが現実です。悪意があるなしに関わらず、流行というかブームというか、そういうものに乗っかって開発された商品は少なくない訳です。

それにこのようなことは何も商品だけではなく、あらゆるサービスにおいてもごく一部であっても存在します。

わが鍼灸業界においても競合とされる代替療法や民間療法を行なう業界では上記のような詐欺まがいの広告が横行しています。

あなたのご自宅の郵便ポストにいろんな疾患が治るといったような表記がされた広告やチラシが入っていたことはありませんか?

これは薬事法に抵触する可能性が高いと言えます。

我々鍼灸師など医療に従事する物は基本的に疾患名などを記載してその効能効果や治療法等を広告には使用してはいけません。

代替療法や民間療法の中には医療行為として行なっていないから法律には抵触しないとか、取り締まる法令等が無いので、問題ないというようなことをおっしゃる方もいますが、そういうことならなおさら、効能効果をうたってはいけないと思います。

商品の売買だけでなくあるサービスを行なうことで代価を得る訳ですから、利用者を惑わすような広告などはあってはいけないのです。

それから、今回取り上げた鉱石にしても消費者はもっと賢くなる必要があります。冷静に考えれば宣伝文句が誇張だということは分るはずです。

もちろんTVや雑誌、ネットの情報でもその商品の宣伝文句が正しいかのように伝えているかもしれません。

もし本当に宣伝文句が100%正しいのなら、もっと世界的に知られていたり、具体的な研究結果が発表されていても不思議ではないはずです。

要は消費者が提供されるものが本物かどうかきちんと見極める力を養うことが大切なのです。

もちろん、宣伝文句を信じて使用するという方はそれでもよいのです。ご自身で考え納得して商品の購入をしたりサービスを受けているということであれば。

宣伝文句を信じることである程度のプラシーボ効果も期待できますから、きちんと納得していれば問題は少ないでしょう。


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 2.あとがき
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最近はネットの不及も手伝ってか、不景気のためか、マーケティング手法のためか分りませんが、いろんな商品情報も得られたり、購入なども気軽に出来る反面、粗悪な商品も多いんじゃないかと思います。
ほんと消費者は賢くならないといけませんね。

posted by 鍼医Kまたはハリー at 22:15| Comment(2) | TrackBack(0) | メルマガバックナンバー

2010年03月22日

現役 鍼灸師Kの「思うところを述べよ!?」 vol.195 〜花粉症対策〜

★ Magazine from 鍼灸治療院 和み堂 ★
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現役鍼灸師Kの「思うところを述べよ!?」
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 20日から22日の連休の前半は天気が荒れました。連休でただでさえ渋滞するのに、突風が吹いたり、いろんな物が飛んできたり、危ないですね。そんな中、「やきがし 和み堂」では初のイベント出店を行いました。お買い上げいただいた皆様、ありがとうございました。
 身体にも多大な影響を与える食、トータルバランスとしての食の重要性や食が与える様々な作用、食養生についてももっと広がっていけばよいのではと思います。
◆◇◆ 今日のお題 ◆◇◆

 1.院長コラム〜花粉症対策
 2.あとがき

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 1.院長コラム〜花粉症対策
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 春分の日を過ぎました。20日は突風が吹いて21日にかけて各地で大荒れの天気となりました。しかも黄砂注意報も発令されていたようで、花粉症症状を誘発した方も多かったのでは?と思います。

以前にも花粉症についてはお話したと思いますが、タイムリーな話題なので今回も取り上げたいと思います。

さて、この花粉症ですが、スギやヒノキの花粉が飛散する時期に症状が出るという方が多いと思います。スギ花粉などは絶対的に量が多いということも関係していると思いますが、果たしてそれだけか?という疑問もあります。

現在は一年を通して症状の強弱はあるが、鼻症状やせき、くしゃみが出るという方も少なくないので、この時期だけの問題ではなくなってきています。

それでは、まず医学的に花粉症の定義はどうなっているかみてみましょう。
南山堂医学辞典によれば花粉症は次のように解説されています。

「花粉症は花粉に感作された個体が原因花粉に暴露されることにより発症するI型アレルギーによる疾患である。」

原因になる花粉との接触によってアレルギー反応を示す疾患ということですね。

現代医学では鼻汁中のマスト細胞(肥満細胞)、好塩基球の細胞膜上の特異的IgE抗体が花粉と抗原抗体反応を起こすことで、ヒスタミンやロイコトリエンといった化学物質が遊離されて、種々の症状を引き起こすということになっています。

症状としては鼻アレルギー症状(大量のさらさらの鼻水、くしゃみ、鼻の掻痒感、鼻づまりなど)、アレルギー性結膜炎症状(眼瞼結膜の発赤、流涙、眼のかゆみ、瞼の腫れなど)、気管支喘息症状(呼吸困難、喘鳴、せきなど)などがみられ、単一症状から複合症状まで様々ということになります。

そのようなことで、現代医学では花粉が原因のアレルギー症状だと言っている訳です。

ところで、花粉症をお持ちの方で、登山やハイキングをされる方はいらっしゃいますでしょうか?特にこの時期は登山に行くと、目視できるほど大量の花粉が飛散していることがあります。

風にあおられて、樹木からふわっと霞が買ったように花粉が飛散するような光景を見た方も多いと思います。

そんな状況ですから、花粉は日常生活を送っているところよりはるかに大量飛散しているのですが、以外と花粉症症状が出ない、あっても悪化するということはないという経験をしたという話を聞きます。

これ、ちょっと変だと思いませんか?花粉そのものが原因、誘発物質なら、花粉の量に応じて、症状は強くなりそうなものですが、必ずしもそうはならないということなんですね。
つまりは花粉そのものは身体に悪影響を及ぼすものではないとも言えると思います。確かに尋常ではない量を吸い込めばアレルギー反応云々というより物理的に体外物質が入ることでそれを除去しようとする身体の防御反応としてせき、くしゃみ、鼻症状などは起こるでしょうけど、そこまでの量でなければ悪影響を及ぼさないのではと。

花粉も自然界のものですから、悪影響を引き起こす直接原因なら、もっと昔から大勢の方に症状があったでしょうし、長い年月を経て、人間の身体がもっと対応できるようになっていそうなものですからね。

では、なぜ、花粉症という症状があるのか?ということになるのですが、ひとつは花粉に特に都市部では車などの排気ガス、工場などからの排煙、生活上発生するさまざまなガスなどの大気汚染が加わることによって、症状を引き起こしているのではないかと。

そして二つ目は昨今は深刻な問題になりつつある、黄砂の飛来。それから、もうひとつは花粉に対する嫌悪感、恐怖感などがあるのではないかと思います。

大気汚染や黄砂についてはそれ自体も大問題なのですが、同時に花粉を吸い込むと花粉症状に繋がってしまうと考えます。とはいえ日常生活のなかで排気ガスや交叉などを一切吸い込まないということは不可能に近いです。となると、ターゲットは花粉に大して何か働きかけをすることが有効ではないかと思います。

それには花粉に対して身体の親和性を高めてあげるということです。花粉症を発症する方はその時期になると身体のどこかに歪み(ゆがみ)が出ています。多いのは後頚部から肩にかけて緊張や凝りがよく出ています。

その身体の歪み(ゆがみ)を除去することで、花粉に暴露されてもバランスを崩さない、歪み(ゆがみ)の出ない身体にしていく、つまりは身体からアプローチしていくということになります。

次に、花粉に対する嫌悪感や恐怖感ですが、これは精神面の影響が強い訳ですが、もちろん身体のバランスを取ることでも調整することは可能です。

毎年のように花粉症症状で悩まされていると、症状の出る時期が近づくと徐々におっくうになってきます。鼻症状などは集中力も欠けますし、鼻水や鼻づまりは非常に不快感が強いですし、おっくうになる気持ちはよく理解できます。

症状を長く持っていれば持っているほど時期が近づけば、「また花粉症の時期か」→「症状がまた出るだろうな」→「症状が強いと嫌だな」→「花粉の飛散量が多いと嫌だな」→「花粉は嫌だ」→「花粉が悪い」。なんて風に(ちょっと無理があるか?)花粉自体に嫌悪感を持つようになっている方も少なくないでしょう。

しかしながら、上記したように花粉自体が悪の根源ではないはずなんですね。花粉に対する嫌なイメージは花粉にたいして過敏にさせてしまうとも言えますので、嫌なイメージをグッと抑えて、「花粉は身体と仲良しだ」「花粉は必要なものだ」などというように心の中で念じてみて下さい。悪いイメージを除去するひとつの方法です。

それから、花粉症の症状はアレルギー症状を示すので、「アレルギーは体質だから治らない」「うまく付き合っていくしかない」という風に思い込んでいませんか?体質だから治らないという先入観になっている方、結構多いです。

確かに体質の影響もありますから、例えば治療をして次の日から全く症状が無くなったということは難しいかもしれません。とはいえ、体質が関与しているということは逆に言うと体質だからこそ改善、治していけるのです。

ある特定の物質が化学反応を起こして、その化学反応によって産生される物質が特定の症状を必ず引き起こすということであれば、これはなかなか難治です。花粉が原因物質ならこれを完全に除去するか、途中の化学反応を阻止するために新たな薬剤を投与するとかそういうことが対処となるでしょうけど、実際には花粉症はそのような類の病気ではないと思いますので、体質を変えていくことで症状が激減していくと思います。

体質の話に戻りますが、人生の中で、体質は結構変化します。出産経験のある方は特に自覚するほど体質が変わったという方もいるのではと思います。

成長段階でもどんどん体質は変化していきますし、生活環境などによっても環境変化に対応していく過程で体質は変化することもあります。

ただ、成人の場合は出産などを除けば体質の変化をさほど自覚することはないでしょう。そのような身体なので、体質を変化させるためのきっかけを作ってあげるということが大切なのです。

はい、やっとここで鍼治療の話です。(笑)
鍼灸治療は体質改善にはとても効果のある治療です。花粉症に対して症状を緩和、消失させるための身体からのアプローチとしての治療はもちろん、体質改善のためのアプローチ、さらには精神と五藏六府のつながりから、精神面のアンバランスを整えることにもプラスになります。

ちょっと宣伝みたいな感じになってしまいましたが、鍼治療はおすすめなのですが、体質改善などにより翌年の症状を緩和させたり、将来的には症状の出ない身体を作っていくまでには時間がかかります。もちろん個人差がありますし、現状の症状の程度にもよりますので、一概には言えませんが、継続して治療を行なうことが大切ですね。
まぁ、継続ということ、これが一番難しいのかもしれません。

とにもかくにも花粉症は治らない病気ではない、体質だからという先入観を捨てる、花粉に対するイメージを良くする。このようなことが大切なんじゃないかと思います。

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 2.あとがき
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アレルギー体質をご両親から引き継いでいる率は男性より女性の方が多いような気がします。統計上はどうか分りませんが、女性はホルモンバランスの変動も多いので、より症状が強く出ているのかもしれませんね。とはいえ、体質は日々変化しますので、体質だから仕方ないと思わずに少しずつでも本来のバランスを取り戻していくことが大切ですね。

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posted by 鍼医Kまたはハリー at 12:34| Comment(2) | TrackBack(0) | メルマガバックナンバー

2010年02月23日

現役鍼灸師Kの「思うところを述べよ!?」 vol.194 治療の結果確認をしています か?

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「春の訪れ 桜のパウンドケーキ」 桜の花び
らが散る頃までの販売予定です。

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 2月22日は「ニャー、ニャー、ニャー」(ん?
ニャン、ニャン、ニャンか?)で猫の日らしい
ですね。そう言えば、随分前のことですが、娘
が私のブログを見て一言!「何、これ!?」私
のブログのテンプレートにアメリカンショート
ヘアーが映っていることにビックリしたらしい
のです。
まぁ、特に意味があってのことではなかったの
ですが、それほど驚かれると逆に私の方がビッ
クリしてしまいました。ということで、よろし
ければブログもどうぞ。
http://come-together.sblo.jp/

◆◇◆ 今日のお題 ◆◇◆

 1.院長コラム〜治療の結果確認をしています
か?
 2.あとがき

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 1.院長コラム〜治療の結果確認をしています
か?
====================
以前にブログでは少し触れた話なのですが、こ
の間、勉強会に参加した時に出た話題なので、
もう少し掘り下げて考えてみたいと思って、取
り上げてみました。

我々の鍼灸院に来院される患者さんというのは
基本的にはどこかしらに症状を持っておられま
す。体調管理(私はメンテナンスと呼んでます)
で来院される方より症状が出てきてから来院さ
れる方が多いと思います。

まずは症状をお聞きして、状態の把握を行ない
ます。これはまぁ、当然ですね。これをしない
とどのように治療するか決められませんから。


そして、治療の方法は様々ですが、治療を行い
ます。

治療が終われば、普通は患者さんに治療後の状
態をお聞きします。中には聞かないという院も
あるらしいですが、これは私的には論外です。
また、ペインスケールを使って治療効果の指標
にしている院もあるでしょう。

ペインスケールというのは治療前の状態を1〜1
0の10段階で10として、治療後、症状がどの程
度になったかを記入していただくものです。口
答の場合もあります。

これで、治療は終了としている院が結構多いの
ではないでしょうか。

それが何か問題でも?と思う方は多いと思うの
ですが、これだけでは私は足りないと思うので
す。

では、何が問題かというと、皆さんもちょっと
考えてみてくださいって、もったいぶるような
事でもないので、言ってしまいます。

この症状に対する治療効果の判定は患者さんの
主観しか分らないということなのです。もちろ
ん、これはこれで非常に重要なことで、患者さ
ん自身の体がどうなったのか認識していただく
ためにも必ず必要なことです。

では、なぜ私が問題だと思うかですが、それは
鍼灸、按摩という治療特性や身体の個人差を考
慮すると、症状によっては治療直後の身体の変
化は極めて少ない場合もあるからです。
治療を行なった時点では身体にきっかけを与え
たに過ぎず、そこからどんどん身体が変化して
いきます。これは良い方向へ向かっているのか、
それとも悪い方向へ向かっているのか、判断に
迷うことも無いとはいえません。

そのような事を考えた時に、患者さんの主観に
頼る効果判定だけでは治療が正しかったのか間
違っていたのかが分らないのです。

間違った治療というと語弊があるかもしれませ
ん。言い換えると刺激過剰だったり過少だった
り、または、東洋医学の治療では身体の状態把
握から治療方針までをも指し示す証というもの
を立てますが、その証が違っているとか、選穴
(ツボの選択)に問題があったとか、そのよう
な事で治療後身体がしんどくなったり、場合に
よっては起き上がれないなんてこともあり得る
のです。

ところが上記のように身体の変化が治療直後に
はっきりと出ることばかりではないので、患者
さんの主観のみで効果判定をしていたのでは不
十分ということになります。治療方針が正しい
のかどうか刺激量の多少はどうだったのかなど
を客観的に判断するというプロセスが必要なの
ですね。

では、客観的な判断はどのようにするかですが、
それには・・・・
脈診で確認するということが重要です。

脈診は難しいとよく言われます。確かに簡単で
はないのですが、きちんと基礎から行なえば、
治療効果の判定を行なえるレベルに到達するま
でには、そう時間はかかりません。

脈診では左右の手首に指を3本ずつ当てて、そ
の状態を診ます。左右3本ずつで合計6本、6箇
所の状態を診ます。そして、指を軽く当てた状
態、グッッと力を入れた状態、そしてその中間
の状態を診ます。

指が当たっている6箇所には五藏六府が配当さ
れており、その五藏六府のバランスを確認する
ことができます。

健康人の脈は「平脈」と言われますが、治療の
後にその平脈に近づいていれば、まずは改善の
方向に向かっていると考えてよいでしょう。

厳密に言うと、昭和の大家である故 井上恵理
先生などは個々の体質に合う脈にしなければ、
本当の健康ではないとおっしゃっていますが、
少なくとも平脈に近づけることで、症状の緩和
する方向には向かっていると考えてよいと思い
ます。

現在、鍼灸院に通院されている方で、治療効果
の判定をしっかり行なってもらってないという
方、治療者に現在の身体の状態はどうか尋ねて
みてください。主観だけでなく客観的に身体の
状態はどうかということは非常に大切なことで
すから。

まぁ、長年、通院していて、身体の状態や変化
の具合を治療者が把握できているということで
あれば、さほど心配はないでしょうけど、初め
て受診するなんて場合は診療予約を行なう前に
脈診を行なっているかどうかを尋ねていただけ
れば、その鍼灸院がどのような治療を行なって
いるのかということを知る上で参考になると思
います。

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────────────────────
 2.あとがき
────────────────────
冒頭に猫の話をしましたが、現在、動物にも鍼
治療は行なわれています。国内には専門の資格
がある訳ではないようですが、獣医さんが行っ
ているという話を聞いたことがありますし、競
走馬の世界では鍼治療は当たり前になりつつあ
ると聞きます。またアメリカでは専門の認定資
格がありますね。しかし、動物に鍼治療をした
場合どうやって効果判定をすればいいんでしょ
うかね?脈がとれる気もしませんしね。まぁ、
症状の変化や皮膚の色とかそういうもので判断
しているんでしょうね、きっと。
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posted by 鍼医Kまたはハリー at 22:10| Comment(4) | TrackBack(0) | メルマガバックナンバー