2010年07月23日

現役 鍼灸師Kの「思うところを述べよ!?」vol.200 意外と多い痔疾患 その1

 先日も来院された患者さんが痔かもしれない
ということだったのですが、痔をお持ちの方は
意外と多いんです。鍼灸院に痔を主訴として来
院される方はあまり多くはないのですが、お話
を聞いていると、これが結構多いんですね。

恥ずかしさもあり、鍼灸の適応疾患に痔疾患が
あるなんてことをご存知の方は非常に少ないと
思いますが、痔は昔々からある病気ですから、
治療法はいろいろと考案されていたりします。


そんな訳で今回と次回に渡って痔について書き
たいと思います。
まず、今回は現代医学で痔疾患にはどのような
ものがあるかをご案内します。
痔と言えば、イボ痔や切れ痔という具合に言わ
れますが、医学的には痔の疾患の中でもイボ痔
は痔核といいますし、切れ痔は裂肛とか肛門裂
創とか痔列と言ったりします。

それから、もうひとつ厄介な痔疾患に痔瘻(じ
ろう)があります。

それでは、それぞれをもう少し掘り下げていき
ましょう。まずは痔核から。
痔核は医学辞書では「肛門管部粘膜下および皮
下に存在する上、中、下痔静脈叢に生じた静脈
瘤」ということになっています。

上静脈叢に出来た静脈瘤を内痔核、下静脈叢に
出来たものを外痔核、それらの中間に出来たも
のを中間痔核と言います。

内痔核は静脈や門脈系(門脈は肝臓へ繋がる静
脈)の血流が悪くなり、欝滞をきたす、妊娠や
慢性便秘、門脈圧亢進症や過度の飲酒や腹圧負
荷が原因とされています。

症状は出血が中心で便に血液が付着したり排便
後に出血したりします。出血はありますが、た
いていの場合は痛みはありません。

排便時に肛門の外に内痔核が飛び出すことがあ
り、これを脱肛といいます。脱肛したものが肛
門内に戻れず、肛門で挟まれた結果、炎症を起
こし、腫れて痛みを伴う状態のものを嵌頓痔核
といいます。

次に外痔核です。外痔核は皮下に出血して腫れ
る血栓性外痔核が最も多く、肛門周囲に暗紫色
のできものが出来、肛門に突発する痛みを自覚
することが多いです。

治療としては保存的治療では排便の調整、便を
柔らかくしたり、高度の腹圧をかけないように
します。あまり力まなくてもよいようにすると
いうことです。

その他には手術療法によって、出血を止めたり、
血栓が出来ていればその血栓を除去する手術が
行なわれます。

では、次に切れ痔、裂肛・肛門裂創・痔列です。

これは肛門に過度の伸展負荷がかかり、肛門管
上皮に裂創をきたしたものです。つまりは肛門
の皮膚が過度に引き伸ばされて避けてしまった
状態ということです。

裂肛は女性に多く、排便時や排便の後に痛みが
あり、出血を伴うことが多いです。

治療は便を柔らかくするなど便の正常化を行な
ったり、肛門管を確徴するような手術療法が行
なわれることもあります。

この裂肛が慢性化すると肛門疥瘍になることが
あり、その場合は手術によって疥瘍を除去する
ことも必要となります。

次は痔瘻についてです。
痔瘻は「直腸粘膜、肛門管、または肛門周囲皮
膚に瘻孔を有する疾患」ということで、肛門周
辺などに管状の孔ができる疾患です。

原因としては外傷、クローン病、潰瘍性大腸炎、
悪性腫瘍などのこともあるようですが、大部分
は直腸・肛門周囲膿瘍が潰れたり、切れて膿が
排出された後に発症するようです。

瘻孔の両端が開口しているものを完全痔瘻、一
旦が閉じているものを不完全痔瘻と区別します。
また、途中で瘻孔が枝分かれしているものを複
雑痔瘻、そうでないものを単純痔瘻と分けます。


さらに、瘻孔と肛門括約筋の関係からも分類は
ありますが、ここでは省略します。

典型的な痔瘻では肛門周囲膿瘍の既往を持つ場
合が多く、瘻孔の内側の開口部に細菌感染など
があり、肛門周囲の皮膚に開口した孔から持続
的または間歇的に分泌物や膿が排出され、場合
によっては膿が溜まって痛みを感じたり腫れた
り、発熱することもあります。

また、痔瘻は通常、自然治癒はなく、手術療法
が必要です。

ということで、今回は痔にまつわる現代医学的
なお話をさせていただきました。痔にもいろい
ろあって、症状や対処も変わりますが、基本的
には妊婦さんのように急激に物理的な体型変化
がなければ排便状態を正常に保つことでかなり
の予防になると思います。

次回は東洋医学では痔疾患にどのような治療を
行なっているかをご紹介します。
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posted by 鍼医Kまたはハリー at 20:29| Comment(2) | TrackBack(0) | メルマガバックナンバー

2010年06月24日

現役 鍼灸師Kの「思うところを述べよ!?」 vol.199 治療の回数と間隔

時々、患者さんに尋ねられることなのですが・
・・
「鍼で治りますか?」
「どのぐらいで治りますか?」
「長い期間、治療しないと治りませんよね?」

というようなことを尋ねられることがあります。


このような質問はたいていの場合は初診時だっ
たり、患者さんご本人ではなくご家族が尋ねら
れることが多いです。

初診で鍼の治療自体が初めてという場合は勝手
が分らないので、そのような質問もあっても不
思議ではないのですが、ご家族が尋ねられる場
合は、ある種の先入観というものが出来上がっ
ている可能性が極めて高かったりします。

先入観を持たない人なんて、まずはいないでし
ょうけど、その先入観の強さは様々です。先入
観が強いと場合によっては治療効果にも影響が
出てきます。

昔から「病は気から」というように、治らない
かもと思って治療するのと治ると思って治療す
るのでは差が生じても不思議ではない訳です。


なかなか治らないと思いながらも治療を継続で
きれば、たいていの場合は改善に向かいますが、
治療効果を実感できなければ継続は難しくなり
ますし、治療効果の尺度も個人差があるので、
体の変化が大きいほど治療効果があると感じる
方もいれば少しうずつの変かでも治療効果を実
感できる方もいますので、難しい部分でもあり
ます。

上記のような治療に対してどちらかトイウと後
ろ向きの先入観がある方の場合は継続さえでき
れば徐々にでも改善していきますが、怖いのは
逆の先入観を持っている場合です。

治療に非常に前向きで体の変化をしっかり受け
止めることができる反面、体の治る力以上に気
持ちが先行して治っていると感じてしまうとい
うパターンになります。

このようなパターンの場合は実際にはまだ体が
治っていないのにも関わらず、痛みがなくなっ
ていたり、動かせたりなど身体を使えてしまう
がために、まだ不完全な身体に鞭を打つような
形となり、急激に症状が悪化、逆戻りならまだ
しも、当初より悪化してしまう場合があります。


これはとても気をつけなければなりません。治
療後の身体の使い方の指導をしっかり守ってい
ただくことで、このような事は回避できますの
で、症状が取れたからと言って、決して無理を
してはいけません。

先入観という話から注意すべきことを少し記載
しましたが、要は治療回数と間隔をどうするの
かという目安があれば先入観の影響も少なくて
住むと思われますので、その目安を記載したい
と思います。

厳密には治療回数や間隔は個人差もありますし、
症状によっても当然差がありますので、あくま
で目安としていただければと思います。

一般的に急性症状は治療回数も少なく、治療間
隔は詰めます。一方、慢性症状は治療回数は増
加し、治療期間も長くなります。治療間隔は例
えば3日間集中治療などということはなく週1回
ペースで3ヶ月間などという具合になります。

もう少し具体的な例をあげます。

ぎっくり腰というのがありますよね。日本人は
一生の内で一回以上腰痛を経験する割合が8割
を超えるという調査結果があるぐらいですから、
ぎっくり腰になる方も相当な割合でいらっしゃ
ると思います。

このぎっくり腰にも程度があります。全く動か
せない、立ち上がることも身体の向きを変える
ことすらままならないというようなものから、
動き始めはかなりの痛みを伴うが、なんとか立
ち上がり、腰は伸ばせないが、自力で移動でき
る程度。動き始めは痛いが起き上がってしまえ
ば負荷がかからなければなんとか日常生活は可
能というレベルまで。

一番程度の軽い「動き始めは痛いが、起き上が
ってしまえば動ける」というような場合は治療
はほぼ1回で終了します。予防も兼ねるなら翌
日に再度治療すれば普通に動けるレベルになり
ます。

次に症状が重い、「動き始めはかなりの痛みが
あって、立ち上がれるが腰は伸ばせない」とい
うような場合は治療は2回から4回程度はかかり
ます。治療間隔は毎日か間を空けても二日に1
回というところです。

一番重症な「身体の向きを変えることも起き上
がることもままならない」というような場合は
少々、治療回数も期間も長くなります。治療に
来れるようになった段階で症状がどの程度にな
っているかにもよりますが、動けない段階から
往診させていただいたとしても5、6回からひど
い場合は10回程度の治療が必要な場合がありま
す。治療間隔は毎日か二日に1回程度となりま
す。

まぁ、この最重症の例になる方は少ないとは思
いますが、比較的継承のぎっくり腰になる方は
多いですね。特に冬場とエアコンをガンガンに
使う真夏に発症する方が多いです。

次に慢性症状ですが、これは発症してからの期
間がどの程度か、症状の程度はどのぐらいかに
よって様々です。

当院に来院された方の例では5、6年前からの慢
性腰痛が最初は週1回のペースで2、3回の治療
後、治療間隔を2週間に1回、3週間に1回と3ヶ
月ほどかけて伸ばしていき、その後は月1回の
ペースで数ヶ月の治療を行なった患者さんがい
らっしゃいます。

この方の場合は2週間間隔に治療間隔を伸ばし
た段階で強い症状は消失していて、起床時に違
和感が残っている程度でしたが、予防と養生を
兼ねて数ヶ月間経過観察を行いました。

次は五十肩のような症状の患者さんの例です。
「五十肩のような」というのはこの方は確定診
断を受けていないので、症状から五十肩のよう
であるということです。

この方はお仕事の都合もあり、だいたい2、3週
に1回のペースで治療を継続しました。五十肩
では初期の激しい痛み、夜間痛と運動制限が特
徴的な症状ですが、運動制限が取れるまでは1
年半ぐらいはかかりました。徐々に運動制限も
取れてきてはいましたが、すっきり取れるとま
ではなかなかいきませんでした。

まぁ、このように症状や身体にかかる負荷によ
っても治療回数、間隔はおおきく変化します。
身体の直り具合がよければ治療回数、間隔とも
に少なくなりますし、逆に経過がよろしくなけ
れば治療回数は増加、間隔は症状に合わせて長
くなったり短くなったりします。

ということで、冒頭の質問にはその時点では一
般的なお話程度しかできないという訳です。な
ので、治療回数も何回で治ると決め手しまわな
いでだいたい何回ぐらいで治っていくと理解し
ていただいて、想定より早く治ればそれに越し
た事はないですし、経過が思わしくない場合で
も想定した治療回数、間隔で治癒できるように
修正していければなと思います。
posted by 鍼医Kまたはハリー at 16:43| Comment(2) | TrackBack(0) | メルマガバックナンバー

2010年05月26日

現役鍼灸師Kの「思うところを述べよ!?」 vol.198 〜 ツボはいろいろあるけれど・・・

天候が安定しませんね。5月も下旬というのに、
なんともすっきりしない今日この頃です。
私は数年前まではGWにはすでに半そでで過ごし
ていましたが、さすがに今年は最近まで長袖を
着ていました。

年々、気候変動が激しくなっているのか、それ
とも私の身体が老いてきたからなのか、微妙な
気分です。

◆◇◆ 今日のお題 ◆◇◆

 1.院長コラム〜ツボはいろいろあるけれど・
・・
 2.あとがき

====================
 1.院長コラム〜ツボはいろいろあるけれど・
・・
────────────────────
本日は患者さんにもよくお話する内容なのです
が、ちょっと初心に立ち返ってみたいと思いま
す。

鍼灸治療では鍼や灸を施すところは、ご存知の
通り「ツボ」と呼ばれています。専門用語では
経穴(けいけつ)といいます。

さて、このツボですが、現在WHOに登録されて
いるもので、正経(せいけい)と任脈(にんみ
ゃく)、督脈(とくみゃく)と言われる経絡に
属しているツボだけでも361穴あります。その
内、313穴は左右二つあるので、合計で674穴あ
るということになります。

他にも正経や任脈、督脈に属さないツボとして
阿是穴(あぜけつ)と呼ばれるものがあったり、
書物によっては千とも二千とも言われるぐらい
ツボはたくさんあります。

まあ、ツボは本当にたくさんあるのですけれど
も、当然ながらすべてのツボを治療に使う訳で
はありません。正直、治療で全く使ったことが
ないツボもたくさんあります。

とはいえ、治療で直接的に鍼や灸をしないツボ
にももちろん意味があります。それはどういう
ことかというと、ツボは治療点としてのツボ以
外に診断の際にどのような状態になっているか
を診る診断点としてのツボだったり、身体の状
態を反映して何らかの反応を示している反応点
としての意味合いもあったりします。

診断点や反応点としてのツボは必ずしも鍼や灸
を施すとは限りません。まぁ、ツボにもいろい
ろあるということですね。

しかしながら、上の反応点や診断点としてのツ
ボを考慮したとしても使わないツボはあります
ね。昔はいろんなツボを使用していたのでしょ
うけど、その有効性などが長い年月の間に精査
されてきたんだと思います。

さて、そんなツボなんですが、たくさんあるツ
ボをやみくもに使用するというのはよくありま
せん。

東洋医学では生命エネルギーを「気」と表現し
ます。作用などによって呼び名はいろいろ変わ
るのですけど、「気」という言葉で総称してお
きます。ややこしくなりますから。

それで、その「気」が身体を隅々まで循環する
ことで人は活動する訳です。要は生きていると
いうことになります。

そして、その「気」が循環する通路が経絡と言
われるもので、つまりは経絡も身体の隅々まで
張り巡らされているということになります。

経絡にはいろいろ種類があって、上記の正経に
属する経絡は12経絡あります。それに任脈、督
脈の二つを合わせて14経絡を使用して治療する
というのが一般的です。

そしてこの12経絡はそれぞれが繋がっていて、
「気」はそれぞれの経絡を順に巡行して一日で
50周するということになっています。

それで、ツボの話に戻るのですが、ツボはこの
経絡上にある反応点だったり診断点だったり治
療点だったりします。そして、長い年月をかけ
て試行錯誤の上に特定の位置に反応点や診断点、
治療点を見いだし、そこに名前をつけた、そし
てこれをツボとして扱うようになったのですね。


ですから、ツボを考える時に、経絡の存在とい
うのはとても重要になってきます。上記のよう
に経絡には種類がありますから、繋がっている
とはいえ、治療の際に刺激しない方がよい経絡
もあります。場合によっては状態を悪化させて
しまうこともあり得るのです。

それから、ツボを考える時にもうひとつ大切な
ことがあります。TVや雑誌などでツボが紹介さ
れることがありますし、経絡経穴の教科書には
ツボの位置が記載されていますし、図も描かれ
ています。

ところが実際の身体は当然ながら個人差があり
ます。身長も違えば身体の幅、厚みなど人それ
ぞれです。なので、教科書や雑誌などで書かれ
ているツボの部位に必ずしも目的のツボがある
とは限らないということになります。

教科書や雑誌などのツボの位置はあくまでモデ
ル位置で、実際のツボの位置を見極めることが
大切で、これは素人では非常に困難と言えます。


なので、鍼灸師という専門家が存在するのです
ね。

それでは、鍼灸師はどうやってツボの位置を特
定しているのか?ということなのですが、これ
は文章で書くのは難しいのですが、あえて書く
とすれば、それは指先の感覚ということになり
ます。

ツボは身体の反応点でもあるので、その時々の
身体の状態で様々な状態を示します。

ツボの反応としては凹んでいたり、盛り上がっ
ていたり、軟弱だったり、暖かかったり、逆に
冷たかったり、皮膚がざらついていたり、乾燥
や湿っていたりなどの状態を現していたりしま
す。

そしてそんなツボの反応と問診から得られる情
報、脈診や腹診などの情報を合わせて、最終的
にどの経絡を治療するのか、どのツボを使うの
かを決定していくという訳です。

このように考えるとTVや雑誌で気軽にツボの紹
介などを行なっていますが、安易にツボを刺激
するというのは危険もあるということになりま
す。

とはいえ、ツボをドンピシャで特定できなけれ
ば身体に及ぼす影響も少ないと言えますし、弱
い刺激なら身体の自己調整能力が触発されてよ
い結果を導くかもしれませんので、TVや雑誌の
情報も使い様ということです。まぁ、不安な時
はいろいろ触らないというのが一番の防御です
ね。

ということで、今回はツボについて、再度考え
てみました。ツボを触る時はちょっと注意して
みて下さいね。

────────────────────
 2.あとがき
────────────────────
今回はツボのお話をしましたが、このメルマガ
の在り方を今、検討しています。もともとはま
ぐまぐ!さんのブログ形式メルマガでしたので、
内容はいろいろで、一定のジャンルという感じ
ではなかったので、今更とも思いますが、今後
の内容をどうするか検討している次第です。
いっそ違うメルマガとして新規発行した方がい
いのかなどとも考えていたりします。まぁ、こ
のままかもしれませんし、その辺りは決まり次
第お知らせしますね。
posted by 鍼医Kまたはハリー at 16:44| Comment(2) | TrackBack(0) | メルマガバックナンバー