2017年06月17日

第3の脳と言われる皮膚!その皮膚を鍼灸で刺激をするということは…


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昨日は所属学会で、外部講師をお招きしての勉強会がありました。
講師は鍼灸業界では知らない人はまずいないであろう、ビッグネームの明治国際医療大学鍼灸学部、明治東洋医学院専門学校教員養成学科の矢野 忠先生!
「21世紀は体表医学の時代 -皮膚科学の知見と触の医療的意義について- 」という演題で講演していただきました。

体表の皮膚は鍼灸を行なっている者にとっては治療で必ず触れる部位であり、その皮膚上に現れた変化を捉えることがツボの選穴にも繋がりますし、効果判定の一材料にもなります。

ということで、東洋医学においては古来より皮膚の状態を重要視してきたのですが、現代科学においてはあまり研究の進んでいない分野で、最近になって急速に研究が進み、様々なことが科学的に明らかになってきました。

最近の研究では皮膚は体内と外界との境目で、体内を保護する防御膜や温冷覚、触の感覚器としてだけでなく、他にも様々な機能を備えていることが解明されています。皮膚は発生学的には外胚葉由来で神経系と同じということもあり、主に脳で分泌される物質が皮膚でも分泌されていたり、光や音などに対する受容体も備えていたりと脳が薄く身体全体を覆っているようなものであることが分かってきました。皮膚は外界の様々な情報を受け取り、処理し、伝達、発信などをしているということが分かってきたということです。

そのようなことから「皮膚は考える」とか「第3の脳」などと言われるようになってきました。

皮膚が脳のように様々な機能を備えているとなると、その皮膚に刺激を与える鍼灸や手技療法の効果はもちろんですが、更なる可能性が期待できるのではと思います。

また、前エントリーに記載した、皮下に刺入しない「テイ鍼」が効果を出せることや、特に体表に近い部分を巡っているとされる經脉調整に適しているという点も納得です。

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posted by 鍼医Kまたはハリー at 23:33| Comment(2) | TrackBack(0) | 医療

2016年09月10日

兵庫県鍼灸マッサージ師会主催 夏期大学講座第3日目 その2 〜 不妊症と更年期障害の鍼灸治療


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随分と時間が経ってしまいましたが…夏期大学講座第3日目 午後の内容をアウトプット。

今年度の夏期大学講座最後の講演は 明治国際医療大学鍼灸学部
               明治東洋医学院教員養成学科 矢野 忠 先生による「婦人科疾患に対する鍼灸治療-不妊症と更年期障害に対して-」との演題による講義と実技供覧でした。

更年期障害については鍼灸治療が得意とする分野のひとつでもあり、多くの治療家が治療経験もあるとおもいます。

また、昨今ではまだ鍼灸での明確なエビデンスは示されておらず研究の域を出ていないとのことですが不妊症に対する鍼灸治療も臨床現場では経験のある先生方も多いのではないかと思います。

私の治療経験においても更年期障害の患者さんや不妊症の患者さんはそれなりの数に達していますし、実際の効果も実感しています。

多くの治療家の方が経験はあるかと思いますが、今回の講義内容も参考になるかと思います。

まず、不妊症についてです。

不妊症とは 「生殖年齢の男女が妊娠を希望し、ある一定期間、性生活を行っているにもかかわらず、妊娠の成立をみない場合」と定義されています。ある一定の期間は9割以上の方が2年以内に妊娠の成立をみることからおおよそ2年とされています。

不妊症の原因にはいくつかありますが、鍼灸治療が適用となるのは器質的な要因がない原因不明の機能性不妊症となります。

不妊症を東洋医学では「不孕(ふよう)」「全不産(ぜんふさん)」「無子(むし)」といい代表的な病証は下記のようになります。

(1)腎虚の不妊
 虚弱体質で腎気が不足していたり、房事過多で精血を消耗していたりすると、衝任脈の経気が衰退して胞脈が栄養されず、腎精を摂精することができず発症する。不妊、月経周期の延長、経血量が少ない、下腹部の冷え、腰や膝のだるさ、性欲減退、舌質淡、舌苔白潤、脈沈遅を呈する。

(2)血虚による不妊
体質が虚弱で陰血が不足していたり、脾胃虚弱で気血化生ができなかったりで発症する。 不妊、月経周期の延長、経血量は少ない、顔色は萎黄、倦怠、頭のふらつき、舌質淡、舌苔薄白、脈沈細を呈する。

つまりはざっくり言うと体質が虚弱だったり、過度のsexなどでエネルギーを消耗していたり、消化器系の弱りでエネルギーが十分に補充されなかったりで、生殖能力や妊娠しやすい子宮環境などを作れないことが要因ということになります。

治療としては腎虚に対しては腎気を補うため経穴としては関元、腎兪、太谿、足三里などに刺鍼や施灸を行ないます。

血虚に対しては精血を補うことを目的に関元、三陰交、足三里、血海、脾兪などに刺鍼や施灸を行います。

また、現代医学的には骨盤内循環、特に子宮循環の改善が重要視されており、子宮のデルマトーム領域へのアプローチも重要です。また中Bへの刺鍼により子宮循環が改善することが報告されています。

続いて更年期障害についてです。
まず、更年期とはどのような時期かというと…性成熟期から老年期への移行期とされており、閉経前後10年間ぐらいを指します。国内の女性の閉経年齢は、50.5歳と言われているので、更年期はおおよそ45〜55歳くらいの期間ということになります。この間に生ずる不定愁訴を更年期症状といい、その症状が日常生活に支障をきたす程度になると更年期障害と言われます。

日本産科婦人科学会では更年期障害を「更年期に現れる多種多様の症候群で、器質的変化に相応しない自律神経失調症を中心とした不定愁訴を主訴とする症候群」と定義しています。自律神経失調症を中心とした症状は鍼灸治療の得意分野ですから更年期障害には鍼灸治療がとても有用であると言えます。

次に東洋医学では更年期障害をどのように捕らえているのでしょうか?
更年期障害のことを東洋医学では「経断前後症」「絶経前後症」と言います。『黄帝内経素問』の上古天真論篇には「七七にして任脈の脈虚し、太衝の脈衰少し、天癸竭き、地道通ぜず、ゆえに形壊えて子なきなり」と記されています。一時、養命酒のCMで使われていた一説です。
つまり女性は49歳にして閉経することが示されています。その機序は、49歳前後になると腎気が衰えて天癸が衰退し、その結果、任脈と衝脈に血を注ぐことが出来なくなり、閉経となる。従って閉経前後になると腎気が衰えるために精血が不足し、衝脈、任脈も虚し、腎の陰陽の偏盛偏衰が起こる、ということになります。代表的な病証に下記のようなものがあります。

(1) 腎陰虚による更年期障害
 めまい、耳鳴り、のぼせ、汗、五心煩熱、口や舌の乾き、小便黄、便秘、腰や膝の軟弱化などがみられます。腎陰虚が発展すると肝陰を招き、しいては肝陽上亢へと発展します。肝陽上亢に発展するとめまい、心煩、怒りっぽくなる、のぼせ、汗、腰や膝の軟弱化といった病症を引き起こします。また、腎陰虚により営血が不足し、心血虚損といった病証をも引き起こします。その結果、心悸、不眠、多夢、五心煩熱または情志の失調といった病症を呈します。

(2) 腎陽虚による更年期障害 
顔面晄白、精神不振、寒がり、四肢の冷え、腰や膝の軟弱化がみられます。いずれも腎の陽虚に基づく病症を呈します。

次に鍼灸での更年期障害の治療についてです。現代医学的な観点から肩こりなどの不定愁訴に対して対症療法的に鍼灸治療を施す場合もありますが、東洋医学的なアプローチの方が適していると思われます。
(1)腎陰虚による更年期障害
 鍼灸治療は、腎陰を滋養して補うことを基本とし、肝陽が高ぶっている場合は肝陽を降ろし、心血虚損がみられる場合は、心血を補います。
治療穴としては、腎兪、心兪、太渓、三陰交、太衝などを用います。

(2) 腎陽虚による更年期障害
 鍼灸治療は、腎の陽気を補うことを目的として行います。治療穴としては関元、腎兪、脾兪、章門、足三里などを用います。陽気を補うために、灸療法が適切ですが、灸療法ができない場合は、遠赤外線療法との併用などを行ないます。

病態によっては精神疾患を呈することもありますからすべて鍼灸治療で対応できるとは限りません。そのような場合は医療機関とも連携して治療に当たることが大切です。

今回の講座は以上のような内容でした。ご存知の方も多いとは思いますが、東洋医学で治療を行なう場合に単にどの経穴を使用するかということではなく、どのような病証で、どの藏府が影響を受けているのかを把握することで治療を進めていけば上記に上げられている経穴だけではなく、もっと有用な経穴があるかもしれません。改めて病態把握の重要性を痛感した講座でした。ありがとうございました。


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2016年08月31日

兵庫県鍼灸マッサージ師会主催 夏期大学講座第3日目 その1 「温める」ことの重要性


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すっかり間が空いてしまいましたが、夏期大学講座第3日目の感想を書き留めておきたいと思います。
午前中は坂井医院の坂井 学医師による「 痛みは温めよう!〜「未病を治す」生き方
<細胞が根っこから元気になる習慣>」との演題による講演でした。

坂井医師著作の「体を温める」とすべての痛みが消える―腰痛、ひざ痛、股関節痛、間欠性跛行が治った! (ビタミン文庫)のダイジェスト版というかその入門編のような講演内容でした。

著書のタイトルは「少し言いすぎ」とは思いましたが、編集者さんの意向もあるでしょうから仕方ないとは思いました。

講演内容によると基本的には「温める」ことが重要で、それは即ち細胞のはたらきが悪くなったから、痛みが出るし、なかなか治らない。」という状況を打開するために必要なことであるということ。

なので、捻挫や打撲などでも基本的には患部を「温める」方が早く治癒するということなのですが、ただし、激しい炎症を伴う場合などは例外的に温めてはいけないとのことでした。

まぁ、「やっぱりな」とは思いましたが、基本的には「温める」ことが重要であることは理解できました。

それから、「温める」ことは要は細胞を活性化することになるのですが、それ以外に坂井医師は次のようなことを推奨しています。

1.温める
2.温飲食(40℃)
3.鼻呼吸
4.骨休め

「しっかり休息し、栄養を与え、身体を冷やさない」という古来より東洋医学でも重要視されてきたことが現代においても重要だということですね。
ご参考に!

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