


前回の続きです。
午後は明治国際医療大学 鍼灸学部 特任教授の江川 雅人 先生による「皮膚疾患に対する鍼灸治療 -アトピー性皮膚炎に対する鍼灸治療-」との演題で講義と実技を行なっていただきました。
アトピー性皮膚炎は現代医学ではステロイド外用薬を用いた治療が標準ですが、ステロイド外用薬については副作用リスクもありますし、医師の指導の下にステロイド治療を行なってもかゆみや皮膚症状をコントロールできない例も少なくありません。
鍼灸院を受診される患者さんは「ステロイドの使用をやめたい」「対症療法ではなく根治治療をしたい」と言った思いで来院されることが多いですし、また、鍼灸治療によって絶大な効果を発揮することもあります。
さて、アトピー性皮膚炎の定義ですが、現在は「増悪と緩解を繰り返す掻痒を伴う湿疹を主症状とし、患者の多くはアトピー素因を有する」と定義されています。
つまりはかゆみがあって、湿疹が継続して出現していればアトピー性皮膚炎と診断されるということです。また、「多くはアトピー素因を有する」ということで、アトピー素因、つまりはアレルギー体質の要因だけではないということです。
アトピー性皮膚炎の病態としては「アレルギー性機序」と「非アレルギー性機序」に大別されます。アレルギー性機序はT型(アトピー型)とW型(接触型)に分けられ、T型はIgE抗体が関与するもので、W型はTリンパ球が関係するものということになっています。
非アレルギー方は皮膚バリア機能の障害、光線過敏、心理的要因としての嗜癖的掻破行動があげられます。
そのような化学的、物理的な刺激によって最終的に皮膚に炎症を引き起こしてしまうということです。
中医学的には生まれつき持った脾胃の虚弱や腎陰虚に高カロリー食や環境や精神衛生上の問題などの種々のストレスなどが加わることによって、皮膚の炎症症状として現れるという風に考えます(かなりざっくり書いています)。
では、治療はどのように行なうのかというと…明治国際医療大学では以下の4タイプに分類し治療を進めていくそうです。
「風熱証」「風湿証」「風寒証」「気血両虚証」に分類し、各々、清熱涼血、去風化湿、去風散寒、気血双補を治則として配穴と刺激方法を定め治療を進めます。
それぞれのタイプをざっくり説明すると…
・風熱証タイプは皮膚が発赤し、熱を持っているタイプ。五蔵の肝との関わりが強い。
・風湿証タイプは皮膚がジュクジュクし、掻くと滲出液がすぐに出てくるタイプ。五蔵の脾との関わりが強い。
・風寒証タイプは皮膚が黒ずんで長期に罹患しているタイプ。五蔵の腎との関わりが強い。
・気血両虚タイプは皮膚が乾燥して粉をふくようなタイプ。
という感じになります。病態は上記の分類が混在しているケースもありますからその場合は選穴も混在するようです。
また、種々のストレスなどでも症状が悪化する場合がありますし、皮膚症状だけでなく肩こりや便秘、イライラするなどの随伴症状を伴っており、その随伴症状を取り除くことも皮膚症状の状態に深く関与してきます。
つまり、主たる症状は皮膚症状ですが、身体に現れている様々な症状、歪を取り除くことが重要ということになります。となると、ステロイド外用薬を用いた治療だけでは片手落ちになってしまうケースが少なくないということになります。
特に長期間症状を持っている難治性症状となっている方は全身的な治療を行ない、身体を元気にしていく必要があるということです。
そして、身体のバランスが整ってくるとアレルギー素因を持っている方でもその感受性が徐々に低下し、IgE抗体の値も低下してくるということになります。
当院でも難治性のアトピー性皮膚炎の患者さんを診させていただいていますが、環境変化やストレスなどで一進一退することはありますが、身体の状態を整え、少しずつですが、改善に向かっています。
皮膚症状は皮膚に現れた現象であって、内臓やメンタルなど種々の状態を反映した結果です。ということは全身の調子、バランスを整え、体調が改善し安定してくればおのずと皮膚症状も消失していくということです。
鍼灸治療院 和み堂 公式サイトはこちらをクリック!
*治療のご予約・お問い合わせもHPから行なえます。
鍼灸治療院 和み堂 Facebookページはこちら♪
*休診日のお知らせなども行なっていきます。お問い合わせメッセージなどお気軽にどうぞ!「いいね!」もよろしくお願いします。