2010年08月26日

現役鍼灸師Kの「思うところを述べよ!?」 vol.201 意外と多い痔疾患 その2

明朝、発行予定のメルマガですが、こちらには一足先にアップします。


 先月に引き続き、今月も「痔」の話です。
前号では現代医学での痔疾患の捉え方をご説明しました。詳しくはこちら↓をご覧下さい。

http://www.nagomido.net/short/backnumber

今号では痔という疾患を東洋医学ではどのように捕らえ、治療されているかをお話したいと思います。
では、早速はじめましょう。
前号で現代医学では痔は痔核とか裂孔とか痔瘻という風に言うと書きました。東洋医学では文献などをみると痔漏という表現で総称されているように思います。

で、その痔漏については病体としては昔からあったと思うのですが、あまりそれ単独で書かれている感じではないようです。
養成施設などで使用されている東洋医学関連の教科書でもあまり詳しく述べられてはいないようで、ざっくり書くと「痔は太陽膀胱経の病」と書かれているぐらいでしょうか。

それでは、あまりにも情報が少なすぎるので、ちょっと違う視点からアプローチしてみましょう。

東洋医学ではというか中医学でも同じようなことをすると思いますが、弁証論というのがあります。

弁証とは症状・現象を分析鑑別するという意味で、臨床現場で培ってきた経験と知識を集約し、それを分析し臨床で役に立つようにしたものということになります。

弁証には八綱弁証、臓腑弁証、六経弁証、三焦弁証、衛気営血弁証などがありますが臓腑弁証の中に痔漏についての記載があります。


●大腸熱証
口唇乾燥・大便秘結・肛門腫痛、湿熱がたまるとだいたいにおいて水様便となり腐臭を伴う、色は紫、脉数、舌苔は黄燥、小便短赤・肛門の内外が爛れてジクジクして長く治らず・臓毒、或は痔漏になる、血分に熱があると血絡を傷つけ血便が出る。という風な記載があります。大腸の熱による症状は口が渇いたり、便秘したり肛門が腫れぼったく痛んだりするのですが、湿熱を帯びるとまた状況が変わります。
湿熱は湿邪つまり湿気の影響などの影響から体内での湿気、水分の滞りがあって、熱を帯びた状態が大腸を侵すと便の性状にも大きな影響があり、水様便つまりは下痢になる訳です。熱を帯びた下痢をしていたりすると肛門がただれたりしてそれが痔漏になるということですね。

●大腸虚証
脱肛、婦人の場合は分娩の時に力を用いすぎて直腸が下垂する
こちらでは虚証なので、エネルギーが少ない状態ということになります。現代医学では脱肛は内痔核が肛門外へ脱出した状態ですが、東洋医学でもほぼ同義で考えて問題ないように思います。

他には、藤本蓮風氏の著書

 蔵府経絡学
http://www.nagomido.net/short/zoufukeiraku

 経穴解説
http://www.nagomido.net/short/keiketsu

の中にも記載があります。

東洋医学では肛門は魄門(はくもん)と言いますが、この「魄という字を使用した経穴(ツボ)」に「魄戸」という経穴があります。これは背部輸穴の「肺兪」の外方に位置する経穴で、「肺は魄をつかさどる」こともあり、五藏六府の関係から「肺兪」と「魄戸」は肺と大腸で表裏関係になるということになります。
また、肛門は腸の末端の出口ですから間に直腸を挟みますが、大腸の末端という風にも捕らえることができますし、経穴の漢字には意味があることを考えると大腸との関係は不快と言えます。魄門は大腸の末端であり魄の状態を示すところでもあるという訳です。

それから、経絡流注をみると太陽膀胱経の正経流注では肛門を通らないのですが、別絡は肛門まで伸びていて、太陽膀胱経上の経血にも反応点や治療点が現れるということになります。しかし、太陽膀胱経へのアプローチだけで治療できるのは軽度の場合で、ひどい場合はそのバックボーンにある肺や大腸の影響を考慮しないといけないということになります。

ということで、東洋医学では痔疾患のうち大腸の熱証では大腸に影響が出た時に発症する病で、太陰肺経、陽明大腸経、太陽膀胱経などに影響が出るということです。

次に脱肛ですが、慢性下痢などでも起こる場合がありますが、東洋医学では脾・腎気虚などが影響していることが考えられます。なので脱肛の場合は太陰脾経、陽明胃経、少陰腎経、太陽膀胱経などにも反応が現れるということになります。

次に治療の話に進みます。
大腸熱証では有名な経穴に孔最(こうさい)という経穴があります。これは太陰肺経上の経穴でゲキ穴という分類の経穴で、主に余分なエネルギーを取り去る、滞りを取るために使用します。

上で書いたように肺と大腸は表裏関係にあるので、肺経上の経穴からのアプローチが出来るということになります。


その他には承山穴や膀胱兪穴などもよく反応が出ている経穴になります。こちらは太陽膀胱経上の経穴ですが、承山穴はふくらはぎにある経穴ですが、体の部位でいうと肛門は後ろの下にあり、同様に承山穴も下肢の後ろの下にあるという位置関係で影響がでやすいと言えます。

膀胱兪穴は書いて字の如く膀胱を癒す経穴ですから太陽膀胱経に深く関与するということになります。

上記に挙げた経穴以外には会陰穴、関元穴、百会穴、大椎穴、気海兪穴、小腸兪穴、八リョウ穴、中膂兪兪、白環兪、会陽穴などなど教科書的にはいろいろな経穴が上げられています。
治療事態は鍼治療でいけますが、孔最穴には灸も古くから行なわれてきたようです。施灸の場合は10〜15壮ぐらいでしょうか。

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posted by 鍼医Kまたはハリー at 00:49| Comment(0) | TrackBack(0) | メルマガバックナンバー
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