2010年06月24日

現役 鍼灸師Kの「思うところを述べよ!?」 vol.199 治療の回数と間隔

時々、患者さんに尋ねられることなのですが・
・・
「鍼で治りますか?」
「どのぐらいで治りますか?」
「長い期間、治療しないと治りませんよね?」

というようなことを尋ねられることがあります。


このような質問はたいていの場合は初診時だっ
たり、患者さんご本人ではなくご家族が尋ねら
れることが多いです。

初診で鍼の治療自体が初めてという場合は勝手
が分らないので、そのような質問もあっても不
思議ではないのですが、ご家族が尋ねられる場
合は、ある種の先入観というものが出来上がっ
ている可能性が極めて高かったりします。

先入観を持たない人なんて、まずはいないでし
ょうけど、その先入観の強さは様々です。先入
観が強いと場合によっては治療効果にも影響が
出てきます。

昔から「病は気から」というように、治らない
かもと思って治療するのと治ると思って治療す
るのでは差が生じても不思議ではない訳です。


なかなか治らないと思いながらも治療を継続で
きれば、たいていの場合は改善に向かいますが、
治療効果を実感できなければ継続は難しくなり
ますし、治療効果の尺度も個人差があるので、
体の変化が大きいほど治療効果があると感じる
方もいれば少しうずつの変かでも治療効果を実
感できる方もいますので、難しい部分でもあり
ます。

上記のような治療に対してどちらかトイウと後
ろ向きの先入観がある方の場合は継続さえでき
れば徐々にでも改善していきますが、怖いのは
逆の先入観を持っている場合です。

治療に非常に前向きで体の変化をしっかり受け
止めることができる反面、体の治る力以上に気
持ちが先行して治っていると感じてしまうとい
うパターンになります。

このようなパターンの場合は実際にはまだ体が
治っていないのにも関わらず、痛みがなくなっ
ていたり、動かせたりなど身体を使えてしまう
がために、まだ不完全な身体に鞭を打つような
形となり、急激に症状が悪化、逆戻りならまだ
しも、当初より悪化してしまう場合があります。


これはとても気をつけなければなりません。治
療後の身体の使い方の指導をしっかり守ってい
ただくことで、このような事は回避できますの
で、症状が取れたからと言って、決して無理を
してはいけません。

先入観という話から注意すべきことを少し記載
しましたが、要は治療回数と間隔をどうするの
かという目安があれば先入観の影響も少なくて
住むと思われますので、その目安を記載したい
と思います。

厳密には治療回数や間隔は個人差もありますし、
症状によっても当然差がありますので、あくま
で目安としていただければと思います。

一般的に急性症状は治療回数も少なく、治療間
隔は詰めます。一方、慢性症状は治療回数は増
加し、治療期間も長くなります。治療間隔は例
えば3日間集中治療などということはなく週1回
ペースで3ヶ月間などという具合になります。

もう少し具体的な例をあげます。

ぎっくり腰というのがありますよね。日本人は
一生の内で一回以上腰痛を経験する割合が8割
を超えるという調査結果があるぐらいですから、
ぎっくり腰になる方も相当な割合でいらっしゃ
ると思います。

このぎっくり腰にも程度があります。全く動か
せない、立ち上がることも身体の向きを変える
ことすらままならないというようなものから、
動き始めはかなりの痛みを伴うが、なんとか立
ち上がり、腰は伸ばせないが、自力で移動でき
る程度。動き始めは痛いが起き上がってしまえ
ば負荷がかからなければなんとか日常生活は可
能というレベルまで。

一番程度の軽い「動き始めは痛いが、起き上が
ってしまえば動ける」というような場合は治療
はほぼ1回で終了します。予防も兼ねるなら翌
日に再度治療すれば普通に動けるレベルになり
ます。

次に症状が重い、「動き始めはかなりの痛みが
あって、立ち上がれるが腰は伸ばせない」とい
うような場合は治療は2回から4回程度はかかり
ます。治療間隔は毎日か間を空けても二日に1
回というところです。

一番重症な「身体の向きを変えることも起き上
がることもままならない」というような場合は
少々、治療回数も期間も長くなります。治療に
来れるようになった段階で症状がどの程度にな
っているかにもよりますが、動けない段階から
往診させていただいたとしても5、6回からひど
い場合は10回程度の治療が必要な場合がありま
す。治療間隔は毎日か二日に1回程度となりま
す。

まぁ、この最重症の例になる方は少ないとは思
いますが、比較的継承のぎっくり腰になる方は
多いですね。特に冬場とエアコンをガンガンに
使う真夏に発症する方が多いです。

次に慢性症状ですが、これは発症してからの期
間がどの程度か、症状の程度はどのぐらいかに
よって様々です。

当院に来院された方の例では5、6年前からの慢
性腰痛が最初は週1回のペースで2、3回の治療
後、治療間隔を2週間に1回、3週間に1回と3ヶ
月ほどかけて伸ばしていき、その後は月1回の
ペースで数ヶ月の治療を行なった患者さんがい
らっしゃいます。

この方の場合は2週間間隔に治療間隔を伸ばし
た段階で強い症状は消失していて、起床時に違
和感が残っている程度でしたが、予防と養生を
兼ねて数ヶ月間経過観察を行いました。

次は五十肩のような症状の患者さんの例です。
「五十肩のような」というのはこの方は確定診
断を受けていないので、症状から五十肩のよう
であるということです。

この方はお仕事の都合もあり、だいたい2、3週
に1回のペースで治療を継続しました。五十肩
では初期の激しい痛み、夜間痛と運動制限が特
徴的な症状ですが、運動制限が取れるまでは1
年半ぐらいはかかりました。徐々に運動制限も
取れてきてはいましたが、すっきり取れるとま
ではなかなかいきませんでした。

まぁ、このように症状や身体にかかる負荷によ
っても治療回数、間隔はおおきく変化します。
身体の直り具合がよければ治療回数、間隔とも
に少なくなりますし、逆に経過がよろしくなけ
れば治療回数は増加、間隔は症状に合わせて長
くなったり短くなったりします。

ということで、冒頭の質問にはその時点では一
般的なお話程度しかできないという訳です。な
ので、治療回数も何回で治ると決め手しまわな
いでだいたい何回ぐらいで治っていくと理解し
ていただいて、想定より早く治ればそれに越し
た事はないですし、経過が思わしくない場合で
も想定した治療回数、間隔で治癒できるように
修正していければなと思います。
posted by 鍼医Kまたはハリー at 16:43| Comment(2) | TrackBack(0) | メルマガバックナンバー
この記事へのコメント
治るという場合も、本当に治って再発しないというトコまで行く場合と、その時は大丈夫になるけど、無理をするとスグにぶり返すという場合もありますしね。

個人差とか、年齢、性格的なモノなど、トータルで判断しないと無理な場合もあるので、何時、治るかをピタッと当てるのは、神業の範疇になりますよね。
Posted by koyuri at 2010年06月24日 23:26
koyuriさん。ほんとその通りです。患者さんからすれば治るのか治らないのか、どれぐらいで治るかなどは重要なことなのでしょうけど、それはなかなか回答が難しいですね。ある程度は分ってもドンピシャというのは難しいですね。
Posted by 鍼医K at 2010年06月25日 20:30
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